このページは、食品衛生法に基づく食品営業許可を取得する際に必要な各基準について説明しています。
食品営業許可を取得する際、次の基準を満たさなければ許可を受けることができません。
- 設備基準
- 人的基準
- 場所の基準
食品営業許可に必要な施設基準
食品営業許可を受けるためには、施設基準を満たさなければなりません。
施設基準には、次の2種類があります。
- 共通基準
自動販売機以外のすべての業種に必要な施設の基準
- 特定基準
業種ごとに定められている基準
ご自身で食品営業許可の取得する場合、施設の所在地を管轄する保健所へ施設基準を確認してください。
共通基準
1.営業施設の構造
場所
清潔な場所を選ぶ
建物
鉄骨・鉄筋コンクリート・木造づくりなど、十分な耐久性のある構造
区画
使用目的に応じて、壁・板などにより区画する
面積
食品の取扱量に応じた広さ
床
タイル・コンクリートなどの耐水性材料で排水性が高く、清掃しやすい構造で排水のための床勾配は1/50~1/100が適当
内壁
床から1メートルまで耐水性で清掃しやすい構造で、床と交わる隅は丸みをつける
天井
清掃しやすい構造で配管ダクト・照明器具等が露出しないこと
明るさ
50ルクス以上
換気
換気扇等のばい煙、蒸気等の排除設備
- ダクトによって屋外にばい煙・蒸気等を排気する場合、近隣に迷惑のかからないよう、その高さ・方向に注意する
- フードを設置する場合、天井戸の隙間がないよう直接設置し、外面は垂直にする
周囲の構造
周囲の地面は、耐水性材料で舗装し、排水性が高く清掃しやすい
鼠族・昆虫等の防除
網戸・自動ドア等で防止し、排水溝には、鉄格子・金網等をつける
洗浄設備
- 原材料・食品や器具等を洗うための流水式洗浄設備
1槽の大きさ(内径)の目安 45㎝(幅)×36㎝(奥行)×18㎝(深さ)以上
- 従業者専用の流水受槽式手洗いと手指の消毒装置
手洗い機外計の目安 36㎝(幅)×28㎝(奥行)以上で、蛇口は、足踏式・ハンドコック式が望ましく・手指の消毒装置をつける
更衣室
清潔な更衣室又は更衣箱を作業場外に設ける
専用の衣服・履物・帽子を着用させるための更衣施設等があること
2.食品取扱設備
器具等の整備
取扱量に応じた数の機械器具及び容器包装を備える
器具等の配置
移動し難い機械器具等は、作業に便利で、清掃および洗浄しやすい位置に配置する
保管設備
原材料・食品・器具類等を衛生的に保管できる設備で、必ず戸をつける
器具等の材質
耐水性で洗浄しやすく、熱湯・蒸気又は殺菌剤等で洗浄が可能なもの
運搬具
必要に応じ、防虫・防塵・保冷のできる清潔な食品運搬具を備える
計器類
冷蔵・殺菌・加熱・圧搾等の設備には、見やすい箇所に温度計や圧力計を備え、必要に応じて計量器を備える
冷蔵庫内および調理場内に温度計を設置すること
3、給水および汚物処理
給水設備
水道水又は飲用的と認められる水を豊富に供給できるもので、貯水槽は衛生上支障のない構造
島しょ地域等で飲用に適した水を得られない場合、ろ過・殺菌等の設備を設ける
貯水槽の水又は井戸水等を使用する場合、年1回以上水質検査を行い、成績書を1年間保存すること
便所
作業場に影響のない位置および構造で、従業者に応じた数を設け、使用に便利なもので、鼠族・昆虫等の防除設備・専用の流水受槽式手洗い設備・手指の消毒装置を設ける
手洗い設備は、従業員専用手洗い設備と同じで、床には排水溝を設ける
汲取口・浄化槽のマンホール等が食品取扱施設に影響しない場所にあること
汚物処理設
蓋のある耐水性で十分な容量があり、清掃しやすく、汚液や汚臭が漏れないもの
ハエ等の衛生害虫の侵入・繁殖を防ぐため、汚液・汚臭が漏れないものであること
清掃器具の格納設備
作業場専用の清掃器具と格納設備を設ける
特定基準
飲食店営業
冷蔵設備
食品を保存するために、十分な大きさを有する冷蔵設備を設けること
洗浄設備
洗浄槽は、2槽以上とすること
自動洗浄設備のある場合又は食品の販売に付随するもので、その食品の販売に係る販売所の施設内の一画に調理場の区画を設け、簡易な調理を行い衛生上支障ないと認められるときは、この限りでない
給湯設備
洗浄及び消毒のための給湯設備を設けること
客席
客室および客席には、換気設備を設ける
客室および客席の明るさは、10ルクス以上必要
食品の調理のみを行い、客に飲食させない営業については、客室および客席を必要としない
風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律又は旅館業法の適用を受ける営業を除く
客用便所
客の使用する便所がある
客に飲食させない営業については、客用便所を必要としない
客の使用する便所は、調理場に影響のない位置および構造とし、使用に便利なもので、鼠族、昆虫等の侵入を防止する設備を設ける
専用の流水受槽式手洗い設備がある
喫茶店営業
冷蔵設備
食品を保存するために、十分な大きさを有する冷蔵設備を設ける
客席
客室および客席には、換気設備を設けること
客室および客席の明るさは、10ルクス以上必要
食品の調理のみを行い客に飲食させない営業については、客室および客席を必要としない
風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律又は旅館業法の適用を受ける営業を除く
客用便所
客の使用する便所を設ける
客に飲食させない営業については、客用便所を必要としない
客の使用する便所は、調理場に影響のない位置および構造で使用に便利なものであり、鼠族・昆虫等の侵入を防止する設備を設ける
専用の流水受槽式手洗い設備を設ける
菓子製造業
施設および区画
施設は、製造・はっ酵・加工および包装を行う場所ならびに製品置場その他の必要な設備を設け、作業区分に応じて区画する
作業場外に原料倉庫を設ける
機械器具
製造量に応じた数及び能力のある混合機・焼がま・平なべ・蒸し器・焙焼機・成型機その他の必要な機械器具類を設ける
必要に応じ冷蔵設備を設ける
魚介類販売業
冷蔵設備
食品の保存に十分な大きさの冷蔵設備を設ける
生食用魚介類を販売する場合、5℃以下の冷蔵能力を有する冷蔵設備を設ける
冷凍魚介類を販売する場合、-15℃以下の冷蔵能力を有する冷蔵設備を設ける
機械器具
取扱量に応じた生食専用の機械器具類を設ける
解凍設備
冷凍魚介類を解凍販売する場合、解凍設備を設ける
最高最低温度計
冷凍魚介類の冷蔵設備には、最高最低温度計を備える
食肉販売業
冷蔵設備
食品の保存に十分な大きさを有する冷蔵設備を設ける
包装凍結肉を販売する場合、-15℃以下の冷蔵能力を有する冷蔵設備を設ける
最高最低温度計
包装凍結肉の冷蔵設備には、最高最低温度計を備える
乳類販売業
冷蔵設備
乳類を常に10℃以下に保存できる能力を有する冷蔵設備を設ける
ただし、常温保存可能品のみを販売する場合はこの限りでない
運搬用具
運搬用具は、製品及び汚染空瓶用を、それぞれ別個に備える
空瓶置場
空瓶置場を設ける
つけ物製造業
一定の区画をした空だる置場が設けられている
作業場周囲の排水溝は、暗きょである
そう菜半製品等製造業
洗浄槽は、2槽以上必要
洗浄、消毒のための給湯設備を設ける
魚介類加工業
作業場に沈でん槽のある排水溝が設けられている
食料品等販売業
取扱量に応じた陳列ケースおよび取扱器具を備える
冷蔵設備は、常に5℃(法に保存基準が定められているものは、 それに従う)以下に冷却できる能力がある
運搬容器はふたがあり、専用のものである
はっ酵乳又は乳酸菌飲料を扱う場合、汚染防止の設備をした空瓶置き場を設ける
上記以外の業種にも特定基準があため、必ず営業施設の所在地を管轄する保健所等に相談してください。
食品営業許可に必要な人的基準
食品を扱う営業を行う場合、営業許可を受ける施設ごとに1名以上、食品衛生責任者を置かなければなりません。
食品衛生責任者と食品衛生管理者は違うので注意が必要です。
- 食品衛生責任者とは、飲食店・販売店・食品製造施設など、営業許可施設ごとに1名置く必要のあるものです(食品衛生管理者を置く必要のある施設を除く)。
- 食品衛生管理者とは、乳製品・食品添加物・食肉製品・食用油脂等、特定の食品を製造等する施設に1名置く必要のあるものです。
食品衛生責任者の役割は、施設において食中毒や食品衛生法違反を起こさないように、食品衛生上の管理運営を行うことです。
そのため、保健所が実施する講習会などの定期的な受講が推奨されます。
食品衛生責任者になるための要件は次のとおりです。
- 食品衛生責任者養成講習会を受講する
- 特定の資格を保持する場合、講習会を受けなくても食品衛生責任者になることができます
食品衛生責任者養成講習会を受講する
食品衛生責任者養成講習会は、都道府県又は市の食品衛生協会が実施しています。
講習会の日程、受講方法等は、営業施設の所在地を管轄する食品衛生協会のホームページを確認してください。
平成9年4月1日の全国標準化により、受講された食品衛生責任者養成講習会の修了証書は、全国で有効です。
特定の資格保持者
次の資格を有する者は、講習会を受けなくても食品衛生責任者になることができます。
- 栄養士
- 調理師
- 製菓衛生師
- と畜場法に規定する衛生管理責任者もしくは作業衛生責任者
- 食鳥処理衛生管理者
- 船舶料理士
- 食品衛生管理者、もしくは食品衛生監視員となることができる資格を有する者
人的欠格要件
次の欠格事由のいずれかに該当する人・法人は許可されません。
- 食品衛生法または同法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
- 食品衛生法第22条から第24条までの規定により許可を取り消され、その取り消しの日から起算して2年を経過しない者
- 法人であって、その業務を行う役員のうち上記のいずれかに該当するものがある場合
食品営業許可に必要な場所の基準
営業施設は、ごみ埋め立て地・湿地その他公衆衛生上不適当な場所に設置することができません。
住居専用地域・住居地域において、営業所面積などの制限を受けることがあります。
飲食店施設は、工業専用地域において営業することができません。